2014年9月19日金曜日

女は気まぐれ、もしくは気まぐれな女

今年2月に亡くなった父親が、4番目の妻として選ぼうとした女性は父と同郷の人だった、

彼女には離婚歴があり、前の夫との間に一男一女を得ていた、
長女は当時19歳、高校を卒業してすぐに上京、羽田の国内線ターミナルにあるショップで働いていた、

家族紹介という形で、妻となる(ぼくにとっては新しい母となる)はずの女性と、その長女と知り合った、
義理の兄と妹が、新しく誕生したというわけだ、
新しい妹の名前は美樹といった、

知り合った当時、ぼくは既に結婚していて子どもも生まれ、同時に学生だった、
新しくできたこの妹を、学園祭につれていったり、後輩たちに会わせたりした、

たまたま家に妻と子どもが居ない時があり、美樹と、ぼくの後輩でもあり美樹と交際が始まったばかりの彼氏を自宅に招き、酒を飲むことにした、
いろいろ話もし、手作りの料理を愉しんだり酒を飲んだりしたその晩、ぼくしかいない家に二人を泊まらせた、
子供用の二段ベッドの上に彼氏が、下に美樹が、部屋の真ん中にぼくが寝た、

朝になり二人は帰っていった、

帰宅した妻が、いきなり不機嫌な顔になり、これはなに?と訊いてきた、
手にしたものを見ると黄色いニットのブラウスだった、
それはたしか昨日の晩に美樹が着ていたもの、

これはなによ?なんでこんなものがここにあるの?
それは二段ベッドの下の隅にまるで隠してあったかのように丸めて置かれていたのだとか、

昨日、美樹と彼氏が遊びに来ていてさあ、美樹のだよ、それ、

なんでブラウスを脱いだのよ、脱ぐようなことをしたの?

彼女の不機嫌な理由がその言葉でやっとわかった、

いや、誤解だよ誤解、美樹の彼氏も居たし、三人で酒を飲んだだけ、なにもないよ

まったくの誤解なので、そのまま正直に説明したのだが、妻の疑心はぼくの言葉だけでは溶けなかったようだ、

妹になるということなので、彼女の勉強の面倒をみていた(彼女が勤めるショップにはたまに外国人も来るというので英語を学びたいという彼女のために簡単な英会話の本をプレゼントしたり、大学卒業の資格を取得したいというので通信教育を受ける手続きを手伝ったことなどなど)、、

美樹も、新しくできた兄にすぐなついたのか、会えばお兄ちゃんお兄ちゃんと慕ってくれた、ようだった、

忘れていったブラウスを返そうとすぐに連絡をとり、会うことになった、

忘れたの?そう尋ねた、

ううん、どうなるかと思って・・、

えっ、わざとなの?

奥さんがどんな顔をしたのか、お兄ちゃんがどんな困った顔するのか、見たかったなあ・・、
そう言って美樹は笑った、

ぼくに気があったわけではないだろう、
現に彼氏もできたことだし、デートを何回か重ねたと彼女自身の口から聞いたこともあった、

それなのになぜ、その行為になんの意味があるのか、ぼくには見当もつかなかった、

今この歳になってみれば、少しはわかる気がしている、

なんの意味もない、
行為の背景に理由を与えることなどまったく無意味な年齢というものがあるのだ、
19歳という年齢の女の単なる気まぐれだった、のだろうと理解している、

ただ、気まぐれからのほんのお遊びが、当時のぼくの妻に、どれほど深刻な疑惑の心を植え付けたのか、
19歳の女には、さすがにそこまで思いが至らなかったようだ、、、

今も生きていれば、来年、還暦を迎えるはずの美樹ちゃん、
どうしているのかなあ、、、














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