「文学フシギ帖」―日本の文学百年を読む 池内 紀 著 岩波新書1261
学生時代の級友、中村君は毎日一冊の岩波新書を読破することを日課としていた、
承知のように、岩波新書といえば、政治経済文学音楽絵画ドキュメンタリーなどなど、さまざまなジャンルを網羅した我が国の出版文化の一部を代表するかのような有名な新書群、、
中には意に染まらない記述もあるだろうし、まるで興味のない内容もあっただろうけれど、とにかく、なんでもかまわないので一日一冊を読了するために、彼は毎日数時間を費やしたはず、、
読もうと思った動機は、教養を増やすとかなんとか、そんな軽いことからだったと彼から直接きいた覚えがある、
奈良県出身で、同地の県議を父親にもつ比較的裕福だと思われた彼、
他の学生のように家庭教師やら日雇いやらのアルバイトをしなくても済み、毎日数時間を岩波新書を読むためだけに費やせる彼の生活を羨ましく思ったことを記憶している、
そのことが頭にあって、最近の図書館通いでは、行くたびに2冊か3冊の岩波新書を借りることにしている、
手元に置きたいほどのお気に入りが見つかれば、amazonの中古本で買う、
ぼくの本の読み方をあえて説明するなら、理科系の本と文化系の本とを必ず混ぜて読むこと、そのことを常に意識して借りたり買ったりしている、
俳句の本と星座の本、流行りのエッセーと化石採掘の本、ロシア文学と化学の実験の本、とまあ、そんな具合に、、
頭を一つのことに狎(な)れさせない、ふりがなを振ることもないのだが、そんなことを意識している、
で、ここまでが前振りの部分、ここからが本題、これも一々ことわらなくてもよいのだが、いちおう、、
前述したように、借りて読んで手元に置きたくなれば買うのだが、借りて読めばそれで済んでしまい、後からわざわざお金を出して買って再度読むこともない本ばかり、、
標題の本は、初めて買うことに決めた本、
文学好きだったり、興味がある人ならお薦めの本なのだ、、
日本の文学百年を読む、と傍題にもあるとおり、
鴎外、漱石、露伴、子規、啄木からはじまり、宮沢賢治、佐藤春夫、内田百閒、久保田万太郎、永井荷風、坂口安吾、太宰、井伏鱒二、江戸川乱歩、三島、川端、深沢七郎、開高健、手塚治虫、池波正太郎、寺山修司、村上春樹と、
数え間違いがなければ、上述以外にも計51名の作家、著述業者たちの、あまり知られていない話が取り上げられている、
図書館で借りたり買ったりして手に入れたならば、本題に入る前の「はじめに」の部分から精読されることを勧めます、
「読み方を変えてみると、ガラリと表情を変えないか。それまで見落としていた登場人物に気が付いて、目からウロコが落ちたように思った・・」著者が綴った、日本文学のさまざまな顔、顔、、
鴎外と高利貸し、漱石と狸、啄木の臨終、晶子と「世界の標準」、藤村と道化役、宮沢賢治の広告チラシ、内田百閒と借金、林芙美子23歳、江戸川乱歩の犯罪、三島由紀夫の「宴」、開高健と飢え、池波正太郎の「御馳走」、寺山修司のパロディ-、村上春樹の自由、
取り上げられているいくつかのタイトルを記してみた、
ねっ、興味が湧いてきたでしょう?えっ、こない?あら、そう、文学に興味がないなら仕方がないよね(苦笑)、、
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