2014年2月20日木曜日

死亡への道程

あなたの場合、男性の平均年齢は生きられません、
目の前に座った医師は、おだやか表情に笑顔を浮かべながらそう言った、

この病気は発症してから10年未満で半分の方が、15年未満でほとんどの方が亡くなります、
発症してから6年ですか、これからの5年が一つの山になります、
今、体内には3cmほどの大きさの癌があるのですが、これが大きくなり5,6cmになったところで、抗ガン剤の治療を施そうと思っています、
前回のものより、副作用は(髪の毛が抜けたりだとかの)少ないのですが、造血幹細胞に大きなダメージを与えることに変わりはありません、
今こうして、治療無しで私と話している、普通に生活ができている、この時間がとても貴重な時間だと思います、大切に使ってください、

目の前に置かれたぼくの体内のCTスキャン影像をみながら、 医師の説明を聞いていた、

死が思ったよりも間近に迫っていること、どうやらそれは確かなことのようだ、
生き別れと死に別れ、何度か結婚し、その後も生涯を共にすべき伴侶を得ている、
子どもたちも全員成人し、孫までも得ることができた、
そろそろ、此岸ともお別れのようだ、

近い将来の死を宣告されても、特別な感情のたかぶりは起きてこなかった、
ヤケになるわけでもない、
ましてや、それを聞いたからといって自ら死を選び取る行為ともぼくは無縁だ、
その日まで、やり残したことを悔やむことのないよう、淡々と仕事を続け生活を営み生きていくつもりだ、

残り9年として、ぼくはその時、70歳を越える年齢になる、
どんな70代が待っているのか、今から楽しみだ、

希望を一つだけかなえてもらえるのなら、孫の小学校の入学式には是非祖父として 参加したい、
成人を迎えた姿を見ることはたぶんかなわないだろうから、そのくらいはかなえてほしい、、

大酒を呑み煙草を喫い、何を今さら贅沢なことをと言われるのなら、それも仕方ない、、よなあ 
苦笑



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