2014年4月16日水曜日

友だちの母のこと

進行性胃癌、それは食道にまで拡がり、もし手術をするのなら、胃と食道とその両方を切除し、大腸を切り取ってそこに埋め込む大手術になるからね、と医師から言われたそうだ、

治療を諦め、穏やかな死を迎える準備をすることも選択肢の一つになりそうだ、

彼の父親は三年前に他界し、いま実家には彼の母が一人で暮らしている、
父も母も元教員で、退職金にも年金にも恵まれ生活には困っていないというのだが、息子の病状を憂える母の心境は他人には計り知れないほど不安と苦痛に満ちたものだろう、

その母の遺言は、わたしが死んだらお父さんの骨と一緒に粉にしてどこかに撒いて欲しい、というもの、
亡くなったご主人を心から愛していたのだろう、

見かけは仲が良さそうなご夫婦なのに、妻が死ぬ最後の言葉として子どもたちに託す願いが、お父さんと同じお墓には入れないで、というものだったり、夫の退職と退職金の入金を待って離婚する夫婦の存在が、漫画的存在でなく実在する昨今であることを、ぼくは知っている、

そんな時代に、亡くなった夫の骨と一緒に混ぜて粉にして、と頼む彼の母親、

ぼくのうちはどうなんだろう、、、


おふくろより俺が先に逝きそうだよ、
どこか遠くを見つめながらそう話す友だちと、昨日もいきつけの居酒屋で酒をのんだ、、







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