2012年1月26日木曜日
障害者です
乗車率120%ほどのある日の夕、山手線を池袋に向かって日暮里から乗車した、
次の駅で一人の若い男性が乗ってきた、
肩からキリン柄のバッグを提げ、銀色の短いコートを着、髪の毛のあちこちを金色に染め上げた、如何にもな今風のお洒落な男性、
車内に乗り込んだ彼は、シルバーシートとその昔いわれた優先席に向かい慌ただしく移動を始めた、
混んでいる車内のこと、彼の進路を妨害しないようにと何人もの乗客が身体をよけた、
優先席の前にたどりついた彼が、目の前に座っている三人の乗客に静かに声を掛けた、
「障害があるんです、どなたか席を譲ってくれませんか」優しく女性っぽい声だった、
三人席の真ん中に座っていた会社員らしき人が慌てて立ち上がり、彼に席を譲った、
(注目するでもなく、座った彼の挙動をみていた)
キリン柄のバッグから同じくキリン柄の携帯用ミラーを取り出した、
(お洒落な人なんだなあ)
小さなポーチを取り出した、ポーチの中から化粧道具の小さく切られた脱脂綿様のものを取り出すと顔を拭き始めた、
白い肌だと思っていた彼の顔がみるみるうちに地の色になり、日本人らしい顔色が現れた、
目の下、眉、小鼻の周囲、頬、耳の下、何度も何度も拭ううちに元の顔とは別人の顔になった、
昔あった音楽グループの米米クラブのリードヴォーカルに似ていた彼 が、平板な顔立ちの奥目の男性になってしまった、
そう、彼(?)は混雑している車内の中で下地から化粧を始めたのだ、
混雑した車内で立ったまま、そこまでの化粧はできないと判断したのだろうか、
池袋に着くまでの10分の間 、念入りな下地作りはまだ続いていた、
そういう男性だけが集まるお店への出勤途中なのかしら・・・、
性同一性障害の男性なのかな、障害といえば障害だけどなあ・・・、
「障害があるんです、 どなたか席を譲ってくれませんか」
彼の化粧の間中、席を譲って彼の前に立っていた会社員らしき人物の憮然とした横側が気になりながら、池袋駅で下車した、、、
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿