相変わらず、本を買ったり読んだりしている、
蔵書などとは口に出して言えない、種々雑多な、折々の関心事にヒマをまかせて集めた本のいろいろ、かなり処分し、整理し、小体にまとめたつもりのそれらなのだが、最近またかなり集まってきた、
性分なので仕方がない、
一生この性行とつきあっていくしかないのだろう、と半ば諦めている、
「好きになった人」 ちくま文庫 筑摩書房 梯(かけはし)久美子著
お薦めです
書名の軽さから、書かれた内容の誠実さを少なからず減じている気がしているのだが、
著者はもちろん出版業に長年携わっているであろうプロたちが決めた書名、
たくさん売れることを、読まれることを祈念して付けた名のはず、
それにしても、「好きになった人」 んーーーー、、
エッセイ集である、
「猫を抱いた父」の文庫版です だそうだ、
その中のお薦めのエッセイを紹介したいと思う、
文書力に自信がないので、そのほとんどを作者の文章にゆだねます、
”美人はトク?” ―かづきれいこさんのメイク
「かづきれいこさんというメイクの先生がいる。あざや傷、やけどの痕などをカバーする『リハビリメイク』を提唱し、医療の世界にメイクを持ち込んだ人である」
「研究を重ね、……(中略)、あざや傷をカバーするだけでなく、顔全体を若々しく元気に見せるメイクを開発し、トラブルのあるなしにかかわらず、多くの女性たちに喜ばれている」
「そのかづきさんからこんな話を聞いた。彼女がメイクを教えている女性が、あるときこう言ったそうだ」
「先生、私がおばあちゃんになったときの顔って、どんなかな、見てみたかったな」
「難病で、長くは生きられないとわかっている若い女性だった。彼女は歳をとった自分の顔を見ることができないと知っているのだ」
「かづきさんが私に言った。
『女性なら誰だって、老けるのはいやだよね。でも考えてみたら、しわだらけ、しみだらけになるまで生きられるのって、幸せなことなのよね』
ほんとうにその通りだと思った。しわもたるみも、運よく(まさに運だ)この年齢まで生きてこられた証拠なのだ」
「がんで亡くなった二十代の女性のドキュメンタリーをやっていた。
…(中略)、彼女の顔がアップになったとき、その肌の若々しさに胸を衝かれた。苦しい病気と闘っているさなかでも、二十代の肌はやっぱりきれいだった。この人は、こんなにきれいな肌のままで死んでいったのか―そう思ったら涙がでた」
「女の人は、きれいなままで死んではいけない。使い古した、しわしわのざらざらの肌になってから死ぬのがほんとうなのだ」
このエッセイにめぐりあっただけでも、この本を買った意味があります、
あざとくいえば、この文章だけで、元を取った気になります、
ただ一言だけ、
最後の文章の、「女の人は」を、「女の人も男の人も」と直していただけたら、さらなる読者拡大につながったのではないか、
最近の自分の様子を鏡で見るにつけ、そう確信している自分がそこにいます、、、
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